患者さんに東洋医学を説明するときに、私がよく使う言葉です。「何よりのエビデンスは歴史です」と。
 X線を開発したレントゲン博士がノーベル物理学賞を受賞したのが1901年。西洋医学の画像診断がここ200年の歴史だとすると、鍼治療は3000年の歴史があります。日本人が大好きな三国志の時代のはるか昔に、現在の東洋医学とほぼ同じかたちが成立していましたし、三国志魏の王である曹操は華佗という医師に鍼治療を受けていました。
 3000年ものあいだ綿々と続いてきた東洋医学は正に体験医学なのです。ここに鍼を刺すと胃の調子が良くなる、生姜を食べると冷えが改善されるといったことを、先人達が学びとり、後世に伝えてくれているのです。